(Hine's 兄さん) 徒然雑記

不定期更新ですが、徒然に思うコトを書きとめてみる

ひとつの時代が終わるのだが…1

安倍政権が進める「働き方改革」の一環として、
厚生労働省は、残業時間を抑制するために新規従業員を雇用した中小企業に対して、
「最大600万円を助成する制度」を4月から導入する。
その昔、日本の製造業といえば、松下電器、ソニー、東芝、サンヨーなどの
電器産業が世界を席巻していた時代があった。
当時、残業時間抑制のカバーに新規雇用従業員への助成金を導入するなんて、
考えられないコトで、景気が良かった、時代が違う、といえばそれまでだが、
世の中的に、多少、残業が多いコトによる苦しみのウェイトは
高くなかったように思う。


元々、日本には働くことが好きである人が数多く、また「勤労は美徳」である
という考え方が根っこにあった『勤労の国』という日本人のひとつの
アイデンティティを、こうした政府の動きが壊してしまうのではないか?
要するに、企業を一律に並べたブラック企業対策かと思う。
最近では、軽減税率とかで、経済活動の混乱を呼び、コンビニなどの、
イートインスペースのような民間の創意工夫を台無しにしているものもある。


当然ながら、どんな会社にも少なからず労使の問題はある。
「ウツや過労」で苦しむ人もいるし「パワハラ」で従業員を追い詰める、
管理能力不足の経営陣がいる場合もある。
それを改善する経営努力は必要なのだが、同じ会社でも誇りを持ち、
喜んで働いている社員も存在する。
多種多様なケースが、現場にはある、それを一律に「ブラック企業」という
汚名を着せるのはどうかと思う。
企業が利益を求めるのは、生き残るためもあり、倒産してしまえば、
その企業に勤めるすべての従業員が職を失う。
それを避けるためには、やはり利益は必要。


共産党などは「労働規制の緩和が原因なので、もっと労働者を保護すべき」
と主張するが、本来、雇用契約は、企業と労働者が自由な合意に基づいて結ぶことを
原則にしているハズです。
ところが、組織や資本を持つ企業と労働者は対等ではないという理論で、
「弱者である労働者側を保護する」という趣旨で法律が整備されてきた。
これにより、労働者の権利のみを拡大するコトにより企業を苦しめ、
かえって労働者の首を絞める結果になってしまった。


例えば、労働契約法によって、企業は正社員を解雇することが極めて難しい。
ミスが続いて会社の評判を落としたり、会社の方針に反対したりしても、
それだけでは解雇できない。
そのため企業側は、厳しいノルマを課したり、逆に意味のない仕事をさせたりして、
自分の意思で辞めてもらおうとする。


彼らのいう「ブラック企業」を減らすには、逆に労働規制を緩和した方がよい。
解雇できるが再就職や転職もしやすい、雇用の流動化を進めた方が現実的ではないか。
また、残業代も企業の悩みのタネで、労働基準法では、労働時間の上限は、
1日8時間、週40時間と定められています、これを超えて働いてもらうには、
通常の賃金より割増した残業代を払わなければならない。


ここでは労働時間だけが問題となり、何を生み出したかは問われない。
この発想の根底には、
「商品の価値は、商品を生産するための必要労働時間によって決定される」という
マルクスの労働価値説がある。
同じ時間働いても、人によってアウトプットは異なる。
それを労働時間だけで管理するというのは酷な話しであり、本質を見ていない。
すでに日本は、従業員雇用のために相当な努力を払っている。
日本の「労働分配率(人件費÷粗利益)」は、71%と諸外国に比べ、かなり高い。


これに加えて、厚生年金や健康保険など、従業員の社会保険料の負担が増え過ぎ、
「パート社員にも福利厚生の充実を」「派遣切りをするな」などと言われたら、
企業は雇用をためらい、働く場所そのものがなくなる。
そもそも、本当に従業員を使い捨てるだけの会社であれば、
永続的に発展することは断じてない。
もし、ほとんどの従業員が「我社はブラック企業」と思っている会社があるとしたら、
遅かれ早かれ淘汰されてしまうと思う。


企業の業績は、いかに従業員の能力を引き出し、生かすかによって左右される。
社員の士気を下げることは、提供する商品やサービスの質の低下につながり、
結果的に顧客に見放されることになる。
企業は厳しい経済環境の中で成長を求め、努力と工夫を重ねていると思う。
政府の企業への介入は、その「資本主義の精神」を破壊しかねない。


さらに、今年のゴールデンウィークは10連休なのだが、国民に休みを与えれば、
古代ローマ時代の詩人のユウェナリスのいう『パンとサーカス』みたいに
人気が出ると思っているのか?
権力者から無償で与えられる「パン(食糧)」「サーカス(娯楽)」により、
ローマ市民のように政治的に無関心になって、
為政者から見れば統治しやすくなると、期待してのコトなのか。


つづく