(Hine's 兄さん) 徒然雑記

不定期更新ですが、徒然に思うコトを書きとめてみる

正義の戦いというウソ

密接に外国の現実に関わる仕事をされている方なら
興味を持たれるかも知れませんが、
なかなか日々、精一杯、この日本で働き、暮らしを良くしていくのは難しい。
そこには、たくさんの原因もあるが、善からぬ仕組みで一転することもある。


さて、リビアという国があります、
カダフィー大佐の暗殺で有名なあの国です。


NATOがリビアに軍事介入するまでは、
リビア国民であるなら小学生から大学まで、教育費が一切無料。
医療費が無料、病気になっても怪我をしても、 
どんな大きな手術でも医療費負担はありませんでした。
農業家を志望するリビア人には、
土地、家、器具、家畜、種子が無料で支給される。
電気代までも無料、若い夫婦が家を買う時に、家を持つことは人権とし、

政府は500万円を支給する。
クルマを買えば政府が半額払ってくれる、しかもローンはすべて利子0%
そして極め付けは、リビアには税金がない。


カダフィーにより、長期に渡り独裁政治を行使したとされるリビアですが、
これらは国民にとって悪い独裁であったのか? 
いい換えれば理想的な福祉国家ではなかったのか。
まぁ、国民になんでも与えてしまうと競争の原理もなくなり、
"心が鍛えられない" というコトにも陥りやすいのですが、
よその国が介入するコトでもない。


では、そのリビアを爆撃したNATOは何を狙ったのか…。
カダフィーが政権を得る以前は、リビア産石油の利益は欧米に流出し、
国民の貧困化は激しく、1日200円ホドで生活している人達がほとんどでした。
カダフィー政権になり、リビアの石油を国有化し、利益の流出を防ぎ、
その利益を国民に還元します。
リビアは豊かになり、以前では1/5の国民しか読み書きができなかた国なのに、
教育は無料で質が高く、識字率は83%にまで伸びました。


ところが、そのカダフィー大佐に対する反政府デモが起きます。
チョッと有名な「アラブの春」というアレです。
「民主化デモ」と称され、「正義のデモ」かのように報道され、
世界中の人達がリビア国民がカダフィーにより圧政されていると
思いこんでしまいました。


まぁ、世界有数の福祉国家で、反政府デモが起きたと云う話しは
今まで、聞いたコトがありませんし、果たしてリビアのような福祉国家で
反政府デモが起きるでしょうか?
報道ではデモを鎮圧するカダフィーに対し、「民主主義vs独裁者」的な構図で、
メディアはとりあげ、国連まで動き出す事態となります。
そしてNATOが出撃、のべ26000機が8000回の空爆を行います。


「リビア国民をカダフィーから守る」という名目にしては多すぎる爆撃で、
リビアを国民ごと破壊しているように感じます。
実際リビアでは、2011年7月11日、
170万人の国民がトリポリの緑の広場に集まり、NATO爆撃に対し、
反NATOデモが行われています。
トリポリの人口の95%が集まり、これは国民全体の1/3に相当しますが、
この大規模なデモはメディアでは取り上げられませんでした。
国民の1/3が反NATOデモに参加すくらい
カダフィー大佐は国民に支持されていた、ということにもなります。
政治システムとしては「独裁」かもしれませんが、
ある意味、「最上級の民主主義」ではないかと思ったりもします。


そして欧米の軍事介入からリビアの内戦は激化し、
反政府デモが起きた半年後には首都は陥落、カダフィー政権は崩壊します。
ところがNATOの空爆は終わることなく、その後2ヶ月間に渡り、
カダフィーが殺害されるまで続けられます。
ただ単に民主主義をリビアに取り戻すという理由でここまでするのか?
首都の陥落後、軍事的にはNATOに降伏した状態にも関わらず・・・


簡単に云えば、欧米はカダフィーがアフリカの地下資源を見直し、
アフリカを豊かにしようとしたコトに危機感を持った結果です。
アフリカは貧しいままでいてくれた方が利用価値が高いから。


カダフィーは、アフリカに、
「アフリカ通貨基金・アフリカ中央銀行・アフリカ投資銀行」を設立させ、
アフリカに統一通貨を作るコトで、米ドル等の支配をなくし、
アフリカを豊かにさせたかった。
ところが、そこには欧米が甚大な不利益を被るという現実もある。


リビア崩壊後に何が起きたかと云うと、EUと米国に貸し付けていた
600億ドル(4.5兆円)は全て凍結、反政府デモを主導した反乱分子は
カダフィー殺害後に、中央銀行を設立させた。
それまで、リビア中央銀行は、欧米の銀行と違って国有銀行。
これでリビアは欧米から搾取される国家へと変わっていった。


これまで湾岸戦争やイラク戦争など散々中東で石油強奪のために
「正義の戦い」をでっちあげてきた連中が相手です。
そういえば、日本でも幕末以来、内戦を経て世界大戦まで経験し、
リビアと同じようになってしまいました。