(Hine's 兄さん) 徒然雑記

不定期更新ですが、徒然に思うコトを書きとめてみる

平和はその国の実力に応じる

国連総会で、トランプ大統領が演説を行た”一般討論”というのは、
加盟国代表が当該会期における問題提起とそれぞれの立場を明示するための制度で、
多国間で取り組むべき課題への認識と取り組みをアピールする機会だそうです。
で、何を話したかと云うと、
「私は、この会議場にいるあらゆる国家が、自国の慣習、信念、伝統について追求する
権利を有することに敬意を表する。
合衆国は、生活様式、労働、信仰について、指図する意志はない。
そのかわりに我々が求めるのは、我々の主権を尊重してほしいということだ。」


要するに、個別国家がそれぞれの生活様式や伝統にのっとり主権を尊重しあうコト。
アメリカの主権を承認するなら、アメリカは相手の主権を尊重すると云うコト。
まぁ、そんなコトを云いたいのだと思います。


日本が外的な主権を犯すような事態を起こすとは思えませんが、
北朝鮮には拉致問題が、中国やロシアには領土問題が、主権にかかわる問題として
存在しているのは明白です。
で、先ほどのトランプ大統領の演説から想定してみると、
これらについて、アメリカが当面のあいだ、「手を貸す」コトも、
「干渉する」コトもない。
なぜなら、これらは日本と北朝鮮、中国、ロシアとの主権にかかわる問題であるから。
と云うワケで、自立が求められています。


自立した国とか独立国家というと、なんだかそれらを定義するのが
めんどくさいですが、人間でいうなら子供から大人になって、
なんらかの職業に就いて家族を持って、自分の実力で家族を養うと云う状態。
そういうのが自立した状態であると思います。


さて、「平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路」という書籍を
ご存知でしょうか。
著者は佐藤健志さんです。


この本には、大蔵省(現・財務省)主計局法規課長として、
財政法の直接的な起案者となった平井平治が、第4条の意義について、
以下のように解説したと書かれています。
”戦争と公債がいかに密接不離(=密接不可分)の関係にあるかは、
各国の歴史をひもとくまでもなく、わが国の歴史を見ても公債なくして戦争の計画遂行の不可能であったことを考察すれば明らかである。
公債のないところに戦争はないと断言しうるのである。
って、本条はまた、憲法の戦争放棄の規定を裏書き保証せんとするものとも言いうる”
(本書は日本国民「必読の書」かも知れません)


で、その財政法、第4条ですが、
『国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。
但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、
国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。』
となっています。
平井平治の、この解説は公共事業費の話しではなく、
『国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない』
というくだり、ここで問題になるのが、日本国憲法の第85条で、そこには、
『国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする』
とあります。
日本国憲法と不整合です、どう見ても、憲法では、政府は「国会の議決」があれば
債務を負担することが可能になっていますが、財政法では「公債や借入金禁止」
になっています。
実は、財政法の上位法は憲法第85条ではなく、憲法9条。
ですから平井平治の解説が必要になるワケです。


9条といえば、
”日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。” と云うコトで、財政法の条文は、
日本政府に9条を守らせるために存在するということが解りました。


要するに、公債発行を「不可能」にしてしまえば、
国家が戦争に突入する事態はなくなると考えていた、と云うコトです。


当然、有事には「公債(国債)発行」が必須なワケで、特に、戦争遂行のためには
政府が借り入れをしてでも軍事力を強化し、敵と戦わなければならいモノです。
おカネが足りないからと云って、敵国は攻撃を待ってはくれません。
なので、公債を発行してでも資金を調達し、軍備を揃えなければ、自国は侵略
されてしまいます。


平井平治の解説が示すように、政府の公債発行を不可能にすれば、
戦闘行為がなくなると本気で考えていたのでしょうか。
また、戦争の発想が日本から仕掛けるコト以外は想定していないのでしょうか。


このように中途半端な「平和主義」が横行する日本ですが、
トランプ大統領のいう自立が、このままの状態で、出来るものなのか?
主権にかかわる問題については、手を貸さない、もう核の傘はない。
と覚悟した方が良さそうな時期です、そろそろ日本も自分の実力で、
国家として自立して欲しいモノです。